2011年9月16日金曜日

コラム 「アートを考える」 vol.1


「コザをアートエリアに」と聞いて十人十色の反応があるでしょう。既にアートなエリアでは?エイサーじゃないの?音楽は? 。そもそもアートという言葉自体が多様化し、アーティストという言葉も幅広く使われる今では、一体どんなエリアになるのかイメージ出来ない方がほとんどではないか。仮に、一部からアートエリアと呼ばれるようになったとしても、首をかしげる方の方が多いかもしれません。


4月から沖縄県の「文化産業振興地域形成モデル事業」という事業のお手伝いをすることになった。何やらお堅い名称だが、簡単にいえば、空き店舗などの未活用施設の現状を調査し、簡単なリニュアルを行って、アーティストの入居を促進する業務である。もちろん「ニシムイ」(戦後の那覇市首里に若手作家が集まってできた美術村)の様なアーティスト村が出来たとしても、それだけでは十分とは考えていない。民間が主となるような美術館もいずれ運営したいと思っている。

そんな折り、先日開かれた「県立美術館のあり方を考える」シンポジウムに参加した。美術関係者はもとより、美術(館)に関心のある一般の方々も、少なからず来場されたことは大変うれしく感じた。新館長人事に端を発した、政治的な背景のみに固執することなく、今後の美術館のあり方そのものについて、一般の方ともさまざまな意見を交換ができたことは、大変意義のある会であった。会場はまさに県立博物館・美術館の中にある講座室だったのだが、当の美術館関係者の出席がなかったのが残念だ。今後もなんらかの形で、意見交換できる場がもてることを期待している。インターネットで検索すれば簡単にブログが見つかるので、興味のある方はのぞいてみてほしい。※1

私自身ギャラリーという仕事を生業にしている。古いと言われそうだが美術館があって、アーティストがいて、ギャラリーも含め、それぞれが良い仕事をすることでアートが機能すると思っている。「アートが機能する?」とはこれまた妙な言い方だし、伝わりづらいのだが、沖縄には優れたアーティストがいて、間違い無くアートがある。今更ながら本来の商業活動に徹するのもいいが、この際だ!今後の自身のギャラリーの今後のあり方も踏まえて、ちょっと立ち止まって自答自問してみよう。次回のコラムには今後のギャラリーのことを書けるといいな。

(ギャラリーラファイエット 秋友一司)

※1 「県立美術館のあり方を考える会」ブログ http://oki-bi.blogspot.com/


※このコラムは2011.5.4琉球新報、おきなわ美術コラム「視線」に掲載されたものです。