2012年2月8日水曜日

コラム 「アートを考える」 vol.2

※このコラムは2010年の琉球新報、おきなわ美術コラム「視線」に掲載されたものです。

2010年に入って「鷹野隆大/イキガー」、今月20日からは「石川真生/ライフ・イン・フィリー」とギャラリーとしては珍しく写真展が続いている。だからという訳ではないが、ここ数年県内の写真家や、写真家を志す若手まで活発な動きが感じられる。昨年の写真甲子園では県立南部工業高校の優勝、県立真和志高校の準優勝と華々しい成績をあげ、県勢が毎年のように好成績をおさめている。また写真誌「LP」(年4回発刊)では編集スタッフの並々ならぬ写真への情熱がうかがえ、最近発刊された仲里効著書「フォトネシア」は特異な沖縄写真論として復帰前後に押し寄せた「写真家」、「写真」、「沖縄」、を批評し次代の若手にあてたメッセージとも感じとれる。ここでは詳細についてふれないが、今年は県内各所でも著名な写真家の展覧会が幾つか予定されていると聞く。
だからあえてここで提案してみたい。それは、コザフォトミュージアムの開館である。全国的にみても「写真」(映像も含む)に特化した美術館は数える程しかない。

既に沖縄市にはまちかど展示室「ヒストリート」、昨年リニュアルした分館「しーぶんかん」がある。また市立図書館や郷土博物館もあり、それらを「あしびな〜」があるコリンザへ一括するという多少無茶な案かもしれないが、一市民としても妙案かと思う。商業・事業施設としてテナントを集積するよりも、周辺の市民会館や音市場と繋がる文化施設としての再生を試みる事が出来るのではなかろうか。或は、中心市街地の広いスペースがある空き店舗をリノベーションするという手も、なくはない。重要なのは企画・コーディネイト力のある人材の確保。同時に、外部から関わってもらえる専門家らによるアドバイザー組織の設置。と、その意見を取り入れる柔軟な運営体制を築く事だと思う。徹底した県外・海外へ向けた広報活動は言うまでもない。言うは易しなのだが、個人的にも実現可能なプランは幾つか持ち合わせている。

今更ながら写真で「町おこし」なんて言いたくないが、コザは基地の街として復帰前から様々な写真家の被写体になっている。「コザ暴動」から40年の節目となる今年、写真家がとらえた記録・記憶は静かな暴動とはいわないまでも、本土まで届く騒動になり得る。


(ギャラリーラファイエット 秋友一司)